フィリピン、POGO事業に年内停止命令 – マルコス大統領が即時禁止指示

フィリピン

フェルディナンド・R・マルコス・ジュニア大統領は、フィリピン国内での全てのオフショアゲーム事業、いわゆる「フィリピンオフショアゲーミングオペレーター(POGO)」の即時禁止を指示しました。これにより、関連する全ての事業は2024年12月31日までに活動を完全に停止し、業務を整理する必要があります。

背景と禁止理由

11月5日にルーカス・ベルサミン官房長官が署名した大統領命令第74号によると、POGO事業は国家安全保障や公共の秩序、経済の安定に対する懸念があるとされます。この命令は、フィリピン財務省(DOF)および反マネーロンダリング協議会(AMLC)の調査に基づいており、POGO事業から得られる経済的利益よりも、社会的および経済的リスクが大きいことが示されています。

DOFの報告書では、POGO事業は犯罪増加や社会不安の原因となり、脆弱な人々が悪用される可能性があると指摘されています。また、AMLCの調査では、POGO分野がマネーロンダリングや詐欺の温床となっていることが明らかにされ、国内の金融システムの信頼性に悪影響を及ぼすとしています。

さらに、POGO事業による評判の悪化が、フィリピンへの外国投資や観光にも影響を与えており、安全な投資・観光地としての国際的な評価を損ねているとされています。

禁止措置の内容と関連機関の対応

命令により、全てのPOGOおよび関連するオフショアゲーミング事業は2024年12月31日までに活動を停止しなければなりません。さらに、フィリピン政府は失業する従業員の支援プログラムを実施する予定です。

この禁止措置を徹底するため、複数の政府機関が協力して違法なオフショアゲーミング活動の取り締まりを強化します。フィリピン組織犯罪対策委員会や薬物取締局が違法な活動を取り締まり、観光省は観光施設の違法ギャンブル利用を防止します。また、人間住環境都市開発省は、住宅地や商業施設でのPOGO活動を制限するため、住宅協会と連携する予定です。

用語解説

フィリピンオフショアゲーミングオペレーター(POGO)

フィリピンを拠点にしながら、主に外国人向けにオンラインで賭博サービスを提供するオペレーター(事業者)を指します。POGO事業者はフィリピン国内で合法的に運営されていますが、サービスの対象は海外の顧客が中心であり、フィリピン国内の居住者は利用できないという特徴があります。

  • 運営の仕組み: POGO事業者はフィリピン政府からライセンスを取得し、外国市場向けのオンラインカジノやスポーツベッティングサービスを提供しています。事業者の多くは、アジアを含む国々のプレイヤーを顧客としてターゲットにしています。
  • 規制と監督: フィリピン娯楽賭博公社(PAGCOR)がPOGO事業者を監督しており、ライセンスの発行や運営の監視を行っています。ライセンスを通じて政府は収益を得ており、経済の一部として成長してきました。
  • 治安と社会問題: POGO事業は国内外の犯罪行為、特にマネーロンダリングや詐欺、組織犯罪の温床になると批判されています。事業を通じて移住してきた労働者や不正な資金の流入も問題視され、社会的・治安的な懸念が増しています。
  • 経済的影響と評判の悪化: POGOの活動がフィリピンの評判に悪影響を与え、外国からの投資や観光産業にもマイナスの影響が出ていると指摘されています。

POGO禁止の決定

こうした問題に対し、フィリピン政府は2024年末までに全てのPOGO事業を停止する決定を下しました。

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