北アイルランドは現在、インターネット時代以降もギャンブルに関する法改正が行われていない唯一の地域として、厳格なギャンブル広告規制を求めています。これを受けて、北アイルランド議会の超党派グループ(APG)は、英国政府に対し、迅速な対応を求めています。
主なポイント
- APGは英国政府に対し、ギャンブル広告に対する厳しい規制の導入を要請
- アイルランド共和国ではギャンブル広告に関する規制が強化され、子ども向けマーケティングやグッズ販売を禁止
- 学術調査では若者へのギャンブル広告の露出が深刻であることが明らかに
最近の会合で、APGの議長であるフィリップ・マクギガン氏は、アイルランド共和国でのギャンブル法改正を評価し、以下のように述べました。「今回の改正は、約70年ぶりの大規模なギャンブル法の改革です。午前5時30分から午後9時までの広告規制や、ギャンブルに関するソーシャルメディア広告の禁止により、リスクが高い層への保護が期待されます。また、子どもを引きつけるような広告を禁止している点も特筆すべきです」。
副議長のロビー・バトラー氏も、「インターネットの普及以降、北アイルランドだけが最新のギャンブル法を持たない地域です」と指摘しました。また、北アイルランド議会でのギャンブル法案の可決が現状難しいことを認めつつも、英国政府が現行法の範囲でできる規制措置の導入を呼びかけました。
アイルランド共和国の新しい法律では、広告時間や場所、頻度の制限が設けられており、特に子どもにアピールする広告やブランド化されたグッズの販売が禁止されています。
この動きは学術研究にも裏付けられており、メイヌース大学とアルスター大学の共同研究では、若者がスポーツ番組やソーシャルメディアを通じて大量のギャンブル広告にさらされていることが明らかになっています。また、ブリストル大学の調査によると、プレミアリーグ開幕週末にはギャンブル広告の数が約3倍に増加していることが確認されています。
用語解説
APG
APG(All-Party Group)は、北アイルランド議会に設置された超党派グループで、特定の問題に関する政策提言や議論を行う組織です。APG on Reducing Harm Related to Gamblingは、ギャンブルによる害を減らすことを目的としたAPGの一つで、議員たちが党派を超えて協力し、ギャンブル規制強化や広告規制の提言を行っています。
アイルランド共和国と北アイルランド
・アイルランド共和国
独立国家であり、正式名称は「アイルランド」です。
欧州連合(EU)に加盟しており、通貨はユーロです。
首都はダブリンで、島の南部と西部のほとんどの地域を占めています。
・北アイルランド
イギリス(英国)の一部で、正式には「北アイルランド地域」として知られています。
通貨はポンドを使用し、首都はベルファストです。
アイルランド島の北東部に位置し、アイルランド共和国とは国境を接しています。
このため、両地域は異なる法律、政府制度、通貨を持ち、それぞれの政府の政策に基づいて運営されています。
ギャンブル法規制の権限
北アイルランドは英国の一部であり、一部のギャンブル規制に関する権限が英国政府にあります。したがって、APGはロンドンのウェストミンスター政府に対し、英国全体での法改正を求めるよう働きかけています。