イギリス全土の歴史的宗教施設8か所が、保存と地域社会との連携を目的とした助成金を受け取る
ナショナル・ロッタリー・ヘリテージ・ファンドは、イギリス国内の歴史的な宗教施設8か所に対し、保存活動と地域社会との交流促進を目的とした総額125万ポンド(約2億円)の助成金を発表しました。この資金は、建築的な保全活動に加え、コミュニティとのつながりを深めるためのプロジェクトにも活用されます。
主な助成プロジェクト
1. ニューカッスル・アポン・タインの教会2か所
- 助成額: £163,600
- プロジェクト名: Discover Jesmond 1888
このプロジェクトでは、珍しいルイス・アンド・カンパニー製のパイプオルガンを備えたユナイテッド・リフォームド教会とセント・ジョージ教会を結ぶ「ヘリテージ・トレイル(歴史散策ルート)」を整備し、地域イベントを通じてコミュニティとの交流を深めます。
2. セント・マーティン教会(ブルマー)
- 助成額: £248,504
14世紀に建設された塔の断熱性能を改善し、地域住民が利用しやすい施設にする計画です。
3. セント・バジル&セント・パイシオス ギリシャ正教教会(リンカーン)
- 助成額: £51,763
グレードII指定建築物の構造調査を実施し、必要な修復作業の計画を立てるための支援を受けました。
4. その他の助成先
- セント・ジョージ・ザ・マータル教会(ホルボーン): £380,389
- ロックウィノック教会(レンフルーシャー): £198,250
- オールセインツ教会(ヘルムズリー): £138,169
- ホルト・メソジスト教会: £30,804
- セント・ジョン・ザ・バプティスト教会(ナッシュ): £138,169
今後の予定と方針
ナショナル・ロッタリー・ヘリテージ・ファンドは、今後3年間で1億ポンド(約157億円)を宗教施設支援に投資する計画です。これにより、歴史的建築物の保存活動を進めるとともに、地域社会との結びつきを強化する取り組みが期待されています。
コメント
ナショナル・ロッタリー・ヘリテージ・ファンドの最高経営責任者(CEO)であるエイリッシュ・マクギネス氏は、次のように述べています。
「宗教施設はイギリスの最も大切な歴史的建築物の一つであり、私たちの文化遺産や地域社会への入り口として重要な役割を果たしています。ナショナル・ロッタリーのプレイヤーのおかげで、これら8つの素晴らしいプロジェクトが持続可能な未来を築くための重要な一歩を踏み出すことができます。」
ナショナル・ロッタリー・ヘリテージ・ファンドによる今回の助成は、地域文化と歴史的価値を守りながら、コミュニティの活性化にも寄与する意義深い取り組みといえるでしょう。
用語解説
ナショナル・ロッタリー・ヘリテージ・ファンド (National Lottery Heritage Fund) は、イギリス全土で歴史的・文化的遺産を保護・活用するために助成金を提供する組織です。このファンドは、ナショナル・ロッタリー(イギリスの公営宝くじ)の収益をもとに運営され、地域社会の活性化や教育、観光促進を目的としたプロジェクトを支援しています。
主な特徴
- 資金源:
- ナショナル・ロッタリーのチケット販売から得られる収益の一部を活用。
- これにより、商業目的ではない公共性の高いプロジェクトを支援。
- 助成対象:
- 歴史的建築物、博物館、自然保護区、宗教施設、コミュニティ活動など、多岐にわたる分野。
- 過去には、ユネスコ世界遺産や地域の文化遺産保存プロジェクトも支援。
- 目的:
- 歴史的資産の保護と修復。
- 地域社会との関係強化。
- 観光や教育を通じて地域経済を活性化。
- 管理体制:
- 政府機関ではなく独立した非営利団体として運営。
- 助成プロジェクトは専門家による審査を経て決定。
具体例
- 宗教施設: 教会や修道院などの修復作業に助成金を提供し、地域社会における交流拠点としての役割を維持。
- 博物館・遺跡: 歴史的価値のある建築物や遺跡の保存活動を支援。
- 自然保護: 自然遺産や景観保護を目的とした環境保全プロジェクトにも資金を提供。
意義
ナショナル・ロッタリー・ヘリテージ・ファンドは、単に文化財を保存するだけでなく、地域社会とのつながりを強化し、人々が自らの歴史や文化にアクセスできる環境を整えることを目指しています。その活動は、観光客の誘致や地域経済の活性化にも大きく寄与しており、イギリス国内外で高く評価されています。
興味のあるプロジェクトがある場合、公式サイトを通じて申請や詳細情報を確認することが可能です。