ミネソタ州、スポーツベッティング合法化をめぐる議論が白熱

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ミネソタ州の議員たちは、スポーツベッティング(スポーツ賭博)合法化をめぐる議論を再び本格化させています。1月9日に開催された州議会財務委員会の公聴会では、合法化の社会的・経済的影響が議論されました。しかし、ギャンブル業界の代表者は証言を許可されず、この決定には批判の声が上がっています。


合法化後の懸念事項

2018年に米国最高裁が連邦法によるスポーツベッティングの禁止を撤廃して以来、38州とワシントンD.C.がスポーツベッティングを合法化しています。しかし、公聴会では、既に合法化した州で見られる問題点が指摘されました。

  • 経済的影響
    UCLAのブレット・ホレンベック教授は、スポーツベッティング合法化後に増加した破産件数、信用スコアの低下、および債務の回収案件に関するデータを提示しました。また、ノースウェスタン大学のスコット・ベイカー教授は、スポーツベッターが口座残高不足やクレジットカード残高の増加、貯蓄の減少に陥りやすいと指摘しました。
  • 社会的影響
    オレゴン大学の研究者エミリー・アルネセン氏とキュウ・マツザワ氏は、スポーツベッティングが合法化された地域で親密なパートナー間の暴力事件が9%増加したと報告しました。特に、地元のスポーツチームが敗北した際に暴力が増加する傾向があるとのことです。

議論を分ける合法化の利点とリスク

合法化推進派は、スポーツベッティングがミネソタ州で既に違法な海外プラットフォームを通じて行われていると主張し、合法化による規制の重要性を訴えています。提案されている法案には、以下のような規制が含まれています。

  • 大学スポーツへの特定の賭けの禁止
  • 未成年者を対象とした広告の禁止
  • 資金移動の待機期間の導入
  • ギャンブル依存症を支援するためのミネソタ州専用ホットラインの設置

一方で、反対派は、賭博の合法化が引き起こす社会的リスクが、経済的利益を上回ると主張しています。ミネソタ州ギャンブル問題連盟(Minnesota Alliance on Problem Gambling)のスーザン・シェリダン・タッカー氏は、依存症のリスクに対処する必要性を強調しました。


議論の焦点:業界関係者の排除

公聴会では、ギャンブル業界の代表者や責任あるギャンブルを専門とする専門家の証言が認められませんでした。この決定について、委員会議長のジョン・マーティ上院議員は、「公聴会の焦点はスポーツベッティングのリスクにある」と説明しました。しかし、業界団体や主要オペレーターを代表するスポーツベッティングアライアンスは、これに強く反発しています。


2025年の展望

スポーツベッティング合法化の提案は超党派の支持を受けていますが、政治的な分裂が進展を妨げています。さらに、現在ミネソタ州でギャンブルの独占権を持つ部族政府も、この議論では沈黙を保っています。

ミネソタ州は、中西部の中でもスポーツベッティングを合法化していない数少ない州の一つです。2025年にこの議論が進展するかは依然として不透明ですが、経済的機会、個人の自由、社会的リスクのバランスが今後の鍵となりそうです。

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