米国のGoogleとAppleが違法ギャンブルで提訴される—スウィープステークスカジノを巡る訴訟が拡大

アメリカ

米国ニュージャージー州で2024年11月27日、新たな集団訴訟が提起され、GoogleやAppleといったテック企業が、スウィープステークスカジノと違法ギャンブルの拡散に関与したとして被告に名を連ねました。この訴訟は、規制されていないギャンブルの取り締まりを求める動きの中で、注目を集めています。


背景:ニュージャージー州の住民が被害を訴える

原告であるニュージャージー州の住民、ジュリアン・バーゴ氏は、スウィープステークスカジノで1,000ドル以上を失ったと主張しています。この訴訟では、High 5 Casino、McLuck、Wow Vegas、CrownCoins Casinoといった複数のスウィープステークスカジノが違法ギャンブルサイトを運営していると名指しされています。

さらに注目すべきは、AppleやGoogle、さらにはそれぞれの決済サービスであるApple PayとGoogle Payが共同被告として挙げられている点です。バーゴ氏はこれらの企業が「組織犯罪に影響を及ぼした」としてRICO法(Racketeer Influenced and Corrupt Organizations Act)に基づく訴えを起こしています。この法律は通常、組織犯罪を取り締まるためのものですが、バーゴ氏の訴えではこれらの企業がスウィープステークスカジノを通じて不正利益を得ていると主張されています。


訴訟の主張:AppleとGoogleの関与

バーゴ氏の訴状では、AppleとGoogleが以下のような方法でスウィープステークスカジノの運営に寄与していると述べられています。

  • アプリストアを通じた収益分配
    両社は、自社のアプリストアで提供されるカジノアプリの収益から一定割合を受け取っています。
  • 決済サービスの提供
    Apple PayやGoogle Payを通じてこれらのカジノサイトへの支払いを可能にし、その活動を支援しているとされています。

バーゴ氏は、これらの行為が事実上スウィープステークスカジノの違法行為を助長していると指摘。さらに、アプリやサイトのマーケティング手法が「無料で遊べる」と誤解を招く表現を多用している点にも言及しています。


スウィープステークスカジノとは?

スウィープステークスカジノは、ユーザーが無料でプレイできるだけでなく、仮想通貨を購入して機能を拡張する仕組みを持つプラットフォームです。仮想通貨を使用することで、スロットマシンやブラックジャック、ルーレットといったギャンブル要素のあるゲームがプレイ可能になります。

一部のスウィープステークスカジノでは、実際に現金賞金を提供する仕組みも取り入れており、これが違法性を巡る議論を引き起こしています。こうしたプラットフォームは多くの場合、米国外に拠点を置き、規制を回避しています。


批判と法的課題

スウィープステークスカジノに対する批判は以下の点に集中しています。

  1. 規制の欠如
    スウィープステークスカジノは伝統的なカジノとは異なり、米国内でライセンスを取得する必要がありません。そのため、ギャンブル税を支払うことなく事業を展開しています。
  2. 誤解を招く広告
    「無料で遊べる」との広告表現が、多くの利用者を誤解させていると批判されています。
  3. スマートフォンをギャンブル端末化
    批評家は、これらのプラットフォームがスマートフォンを「規制のないギャンブル端末」に変えていると指摘しています。

過去の類似事例

今回の訴訟は、GoogleやAppleを共同被告とする初のケースですが、過去には支払い処理サービスを対象とした訴訟も起こされています。例えば、フロリダ州で提起されたVGWに対する訴訟では、Worldpayが共同被告に名を連ねています。


今後の展望

スウィープステークスカジノを巡る訴訟は、米国各地で増加しています。ミシガン州やオハイオ州など、一部の州ではこうした事業者に対して停止命令を発出するなど、規制の厳格化を進めています。

今回の訴訟は、テック業界とギャンブル業界の関係性に焦点を当てており、その結果次第で業界全体に大きな影響を与える可能性があります。

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