オーストラリアのテニス選手バーナード・トミック(32歳)は、2022年の全豪オープン予選試合を含む2試合において、不審な賭博行為が行われた疑いで調査を受けました。この調査では、トミックの試合を巡る賭けで1万ドルから18万ドル(約150万円〜2700万円)に及ぶ利益が得られていたことが明らかになりましたが、最終的には犯罪行為を立証する十分な証拠が見つからず、刑事訴追には至りませんでした。
調査の背景
調査は、オーストラリア警察の「ホワイマン部隊」および国際テニス・インテグリティ機関(ITIA)によって共同で行われました。問題の試合は、2022年の全豪オープン予選でロマン・サフィウリンと対戦した試合と、トルコで行われた別の試合です。オンライン賭博の不審な動きが報告され、トミックの試合に関連した3人のニューサウスウェールズ州在住の男性も捜査対象となりました。これらの男性は、トミック本人または彼の近親者と何らかの関係があるとみられています。
調査の内容と結果
調査の過程で、ITIAはトミックの携帯電話を押収し、彼に対して試合に関する聞き取りを実施。また、テニス・オーストラリアの反汚職担当者もこの調査に全面的に協力しました。しかし、証拠不足のため、警察は最終的に捜査を打ち切り、現在もトミックに対する刑事捜査は行われていません。
また、一部の賭博業者は、これらの不審な賭博行為に対する懸念から、配当金の支払いを拒否しました。
トミックの現在と反応
トミックは現在、世界ランキング212位で、2025年の全豪オープン本戦への出場資格を得られませんでした。今回の調査に関してはコメントを控えています。
テニス界における賭博問題の広がり
今回の調査は、ITIAが進めるテニス界の汚職対策の一環です。最近では、2024年末にナイジェリアの選手3名がテニス反汚職プログラム違反で制裁を受けたほか、ボスニアのテニス関係者が規律違反により資格停止処分を受けるなど、テニス界全体で不正行為に対する取り締まりが強化されています。
今後の課題
テニス界では、賭博による不正行為を防止し、競技の公正性を守るための取り組みがますます重要視されています。トミックの件は犯罪行為に繋がらなかったものの、賭博とスポーツの関係が持つリスクに改めて注目が集まる形となりました。