- 1万2,000件以上の暴言コメントが報告され、15件が法執行機関に通報される。
- テニス選手や関係者への暴言の約48%が怒りを抱えたギャンブラーによるもの。
- 2025年には、ダイレクトメッセージによる虐待への対策を強化予定。
テニス界がオンラインでの暴言や脅迫行為から選手や関係者を守るための取り組みを強化しています。2023年に立ち上げられ、2024年を通じて実施されたこのイニシアチブでは、Threat Matrixという専門サービスを活用し、SNS上での有害な発言を監視し対応しています。
SNS投稿240万件を監視、1万2,000件を特定
この取り組みでは、X(旧Twitter)、Instagram、TikTokなどの主要なSNSプラットフォームで240万件以上の投稿が監視され、1万2,000件の暴言コメントが特定されました。そのうち、約半数にあたる48%が怒ったギャンブラーによるもので、賭けに負けた苛立ちが暴言につながっていることが明らかになりました。
また、性差別的なコメントや不適切な発言も多く見られ、選手や関係者が安全に活動できるオンライン環境を確保する重要性が浮き彫りになっています。
幅広い保護対象と教育活動
このプログラムは、ウィンブルドンや全米オープンの参加者を含む8,000人以上の選手や関係者を対象に実施されています。AIによる分析と専門家の目視チェックを組み合わせ、有害なコンテンツを特定・対応するほか、深刻なケースでは法執行機関と連携して捜査を行っています。
これまでに、15人の常習的な暴言投稿者が法執行機関に通報され、他にも多くのアカウントがプラットフォームからの追放措置を受けています。
選手たちの声:オンライン環境の改善を歓迎
元WTA世界ランキング1位のビクトリア・アザレンカ選手は、この取り組みを歓迎し、次のように述べています。
「SNSは私たちの生活に欠かせない存在ですが、それに伴い、WTAやパートナー組織が有害なコメントをフィルタリングし、報告する取り組みを進めたことは非常に重要です。多くの選手が受けてきたようなヘイトは誰もが耐えるべきではありません。これらのツールを活用して、健全なオンライン環境を作れることを嬉しく思います。」
今後の計画と教育活動の強化
この取り組みを主導したSignify GroupのCEO、ジョナサン・ハーシュラー氏は、次のように述べています。
「テニス当局は、この包括的な取り組みを推進するうえで、リーダーシップを発揮しました。特に怒ったギャンブラーによる暴言の根本的な原因を明らかにし、多くのアカウントを閉鎖する成果を上げました。」
さらに、2025年には、ダイレクトメッセージによる虐待への保護を強化するとともに、得られたデータを活用して教育プログラムをさらに充実させる計画です。
この取り組みは、オンラインの安全性を確保し、テニス界全体の健全な発展を支える重要なステップとなっています。