ブラジル上院は、カジノやビンゴホール、競馬の合法化を目指す法案「2,234/2022号法案」の採決を2025年に延期すると発表しました。この決定は、未解決の懸念や強い反対意見を受けたものです。
この法案は、ブラジルの伝統的な宝くじゲーム「ジョゴ・ド・ビショ(動物くじ)」の合法化も含まれており、2024年6月に下院の憲法・正義・市民権委員会(CCJC)で14対12という僅差で承認されました。しかし、その後の進展は遅れが続いており、当初予定されていた8月や10月の採決も実現しませんでした。
強い反発と延期の理由
今週、上院議論が予定されていましたが、法案の提案者であるイラジャ・シルヴェストレ上院議員が、議会外での抗議活動を受けて議題から法案を引き下げました。上院議長のロドリゴ・パシェコ氏は、採決を来年に行うと発表しました。
法案に対してはギャンブル依存症や社会的影響への懸念から強い批判が寄せられています。特にエドゥアルド・ジラン上院議員は、2025年1月に施行予定のオンラインギャンブルの合法化を批判し、「すでに多くの人々の人生が破壊されている」と述べました。また、一部の反対派は法案の永久的な廃案を求めています。エリジアネ・ガマ上院議員は「この法案を完全に棚上げにすべきだ」と主張し、エスペリディアン・アミン上院議員は「この法案は埋葬されるべきだ」と語りました。
賛成派の主張と今後の見通し
一方、法案を支持するイラジャ議員は、「違法ギャンブルを放置することは、犯罪組織の支配を維持することと同じだ」と述べ、責任あるギャンブルを導入すべきだと主張しました。また、法案が成立すれば、政府による監視や税収確保、不正行為の取り締まりが可能になると説明しています。
上院議長のパシェコ氏は、法案に対するさらなる検討を行うと述べ、特にギャンブル依存症が公衆衛生や社会福祉に及ぼす影響について、健康省と社会開発福祉省から30日以内に回答を求める方針を示しました。
オンラインベッティング市場の規制強化と議論の進展
ブラジルでは2025年1月1日から規制されたオンラインベッティング市場が始動予定で、これがギャンブル規制全般に関する議論をさらに活発化させる見通しです。合法化の是非を巡り、ブラジルのギャンブル産業は新たな局面を迎えています。